あなたの周りにLGBTQ+の人はいますか?
自分の周りにはいないなぁ… と思った方も、もしかしたら知らないだけ、あるいは
気づいていないだけかもしれません。
そもそも、LGBTQ+をきちんと説明できるかと問われたらどうでしょう。
なんとなくは知っていても、正しく理解し、詳しく説明できるという方はまだまだ
少ないような気がします。
実は本書を読む前は、自分はLGBTQ+についてわりと知識もあり理解もしている
方だと思っていたのですが、読後にはその考えを改めることとなりました。
本書では、LGBTQ+の基礎知識や、LGBTQ+の方たちの実際にあった体験談が描
かれており、知っていたつもりで実はそうではなかったことや、初めて知ったこと
もたくさんあり、ジェンダーについての考察をより深めるきっかけとなりました。
そんな中、1番ハッとさせられたのが
『どんな相手を好きになるかって、自分で選べるわけじゃない』
『「特権がほしい」とは思っていない、ただせめて、同じ選択権を持つ権利がほしい』
という2つの言葉でした。
それは至極当たり前ことなのですが、読み進めていく中で改めてその言葉を目にし
たことで、自分は本質をまるでわかっていなかったのかもしれない、と目の覚める
ような思いがしました。
さらに本書では、「男性らしさ」「女性らしさ」とは何か、ということについても
触れられており、「男だから○○」「女だから○○」といった偏見に縛られること
なく、「あなた」は「あなた」であることに目を向ける大切さについて述べられて
います。
それは、遠い誰かの話ではなく、誰にでも当てはまることです。
現在、日本の人口の11人に1人がLGBTQ+のいずれかに該当するそうです。
とすれば、自分の職場や学校、ご近所さんの中にもLGBTQ+の方がいると考える
方が自然なのではないでしょうか。
社会的にもだんだんと理解が進みつつあるようでいて、カミングアウトして生きて
いくには、まだまだ偏見や差別も多いのが現状です。
「知らない」ということが、無自覚のまま誰かを傷付けることもあるということに
気づくためにも、本書を読んで少しでも理解を深め、誰もが自分らしく生きられる
世の中になっていくことを願います。
著 者:パレットーク、ケイカ(イラスト)
出版社:講談社