「文化財」といえば日常で目にする機会も多々あり、興味のあるなしに関わらず京都
や奈良にあるような代表的なものならば、誰しもいくつかは思い浮かぶものでしょう。
そうはいっても、その詳細は知っているようで実はあまり知らない・・
ましてや「滋賀の文化財」となると、あまりピンとこない、というのが正直なところ
でした。
本書では、そんな「文化財」の何たるか、すなわちその意味や設立までの歴史や変遷、
そしてその分類や数に至るまでの詳細な記述があり、それらを踏まえたうえで改めて
滋賀の文化財に特化していく、といった構成になっています。
滋賀はなんと、国宝・重要文化財の保有県としては全国でも京都・奈良・東京に次ぐ
第4位であるらしく、失礼ながらこんなにも文化財があるとは、よもやよもやのこと
でした。
その中から、本書では滋賀の文化財が50点ばかり紹介されているのですが、そのラ
インナップたるや錚々たるもので、時は縄文時代から昭和にまで至り、絵画や工芸、
建築や史跡、祭礼や天然記念物など、あらゆる分野に及びます。
「これぞ滋賀県」といった、琵琶湖の湖底で見つかった『湖底遺跡』なるものから、
『日本最古の大般若経』のようないかにもなもの、さらには『世界を震撼させた事件
の証拠品』や『地獄を見る日』といった意味深なものまで。
1つの文化財につき見開き2ページでたっぷりと、所在場所から造形の詳細、歴史的
背景などが、ユーモアたっぷりの文章にきれいでかわいいイラストを交えて解説され
ており、楽しみながらもしっかりと深い知識を得ることができます。
隣接する京都・奈良が所有数の1位、2位を占めていることもあってか、「全国第
4位」という堂々胸を張れる順位でありながら、『本当 “に” 』ではなく『本当 “は”
スゴイ!』とタイトルにつけてしまう、その控えめで謙虚なところも、きっと滋賀の
魅力のひとつだなぁとしみじみ感じました。
監 修:滋賀県文化財保護課
出版社:サンライズ出版