父は急逝、弟は知的障害、母は病気の後遺症で半身不随となる、
そんな家族とのエピソードを織り込んだ自伝的エッセイです。
こう書くと、悲壮な物語を想像するかもしれませんが、関西人やなあ…
と感心するような、親しみやすい文体にたちまち引き込まれます。
ある側面から見れば厳しい人生であっても、いつも通りに日常は訪れ、
お腹もすけば笑いもするのです。
読み進むにつれて、ふっと力が抜けて温かいものに包まれるような
気がします。
日本ではなかなか使うのが難しい「愛した」という言葉ですが、
読み終わる頃には世界の中心で叫びたくなるほどぴったりの書名でした。
著 者:岸田 奈美
出版社:小学館