お酒を飲みながら美味しいランチを楽しむ女性の描写から始まる本作。
これはひたすら食に向き合う、女性版「孤独のグルメ」か、と思ったのは
早計でした。
主人公の職業は夜から朝までの「見守り屋」。
そんな主人公がランチ酒を求め、店を選び、何を注文するか迷い、どんな
お酒を合わせるか考えるのは何故だろうか。
読み進むにつれて、依頼者も主人公も抱える、現代社会特有の問題が浮かび
上がってきます。
美味しい食事やお酒が癒しとなるのは想像できますが、本書が読者を惹き
つけるのは、たとえ人に傷つけられたとしても、人を本当に癒すのは人で
あると信じられるからではないでしょうか。
著 者:原田 ひ香
出版社:祥伝社