前日まで普通に暮らしていた著者を突然襲った鬱病。
コミック「3月のライオン」の監修にも関わった有名棋士の体験記です。
発病から復帰までの日々が詳細に語られた貴重な記録です。
鬱の症状は、人によりさまざまです。
著者には精神科医である兄もいましたが、苦しみは誰にとっても同じです。
無気力、孤独、絶望や恐怖、僻み、怒り、回復期の波などの記述の一方で、
食べ物の味がする、モノクロの世界に色がつく、本が読める、そして将棋が
指せる…といった変化を読むと、安堵し、鬱病は脳の病気だと実感します。
「コロナ鬱」という言葉が生まれた今こそ、本書を読むことで自身や周囲の
人の病に気づくきっかけになるかも知れません。
著 者: 先崎 学
出版社: 文藝春秋