嫁ぎ先を離縁された主人公は、高齢者や病人を介護する「介抱人」
として生計を立てています。
介抱人を雇えるのは比較的恵まれた家庭ですが、介護が「忠」や
「孝」だけで解決できないのは現代社会と同じです。
舞台を江戸時代にすることで、介護の抱える問題が一層浮き彫りに
なるような気がします。
介護がテーマでも、けっして重苦しい作品ではありません。
著者の作品ではおなじみ、成長することを止めない主人公を、いつしか
応援しているはずです。
著 者:朝井 まかて
出版社:文藝春秋