父である作家、阿川弘之の傍若無人ぶりを綴った追悼記です。
現代ではとうてい受け入れられないような、亭主関白で男尊女卑、理不尽な言動が、これでもかと語られます。
毒親についての書籍が数多く出版されている昨今、もし他の人が書いたなら、怨念に満ちた内容になっていたかもしれません。
「父親とは色々あったけど本当は大好きだった」と締めくくるには、あまりにも強烈すぎるエピソードの数々です。
けれどもユーモアたっぷりの切り口はまるでコメディを見ているかのよう。
この父親の元で、よくぞこんな良い子に育ったものだ、と妙な感慨すら覚えました。
著 者:阿川佐和子
出版社:文藝春秋