杉村三郎シリーズ第4弾、私立探偵となった主人公が遭遇する事件を描いた短編集です。
物語の中には、善良な市井の人間たちもいれば、モンスターも登場します。
以前作者が「一番怖いものは人間の悪意です」と語るのを読んだことがありますが、作者の描く現代社会と人間像を読むと胸が苦しくなります。
それでも、本書を読んだ後は一種の爽やかさを感じます。
それは主人公のキャラクターのおかげでもあるでしょうし、それを生み出した作者の人間に対する愛情が感じられるからかも知れません。
著 者:宮部みゆき
出版社:文藝春秋