「このあたりにあった鈴木商店の跡地はどこですか。」
10数年前、当施設で男性に尋ねられました。
ゆかりの地を求めて関東から来たとのこと。
彼をかりたてた鈴木商店とは、いったい何だったのでしょうか。
本書は、神戸新聞社の綿密な調査による鈴木商店の記録です。
明治という時代。海外に開かれた港を持つ神戸。
鈴木よねと番頭の金子直吉の存在。同時代を生きた近代日本の立役者たち。
すべての偶然が必然となって、鈴木商店は世界規模の総合商社になっていきます。
めざましい成長から、少しずつ歯車が狂い破綻に至る過程は、壮大な大河小説のようです。
かつて神戸にあった「鈴木商店」という巨大商社。
今は建物すら残っていませんが、鈴木商店という大樹の残した種は芽吹き、数多くの企業となり育っています。
編 集:神戸新聞社
出版社:神戸新聞総合出版センター