大阪南部を走る路面電車、阪堺電車。
昭和初期に走り始めた177号が、自らの役目をおえるまでの85年間を描いた連作短篇集です。
時代が変わり、車窓を眺める乗客は変わっても、177号は毎日同じ線路を走り続けます。
ふと、長い年月変わらない物、たとえば古い建物はその間何を見てきたのだろう、と考えました。
舞台がどこであっても、そこにあり続けるものは、一生懸命生きる人々を優しく見守っている、そう信じたくなりました。
本作は、大阪ほんま本大賞第6回受賞作です。
著 者:
出版社:早川書房