「トムは真夜中の庭で」、「グリーン・ノウ」シリーズ、「ともしびをかかげて」、「ゲド戦記」、そして「指輪物語」などのファンタジーに出会ったのは大人になってからでした。
夢中になって読むにつれ、これらの作品にもっと早い時期に出会いたかった、と感じました。
数十年の時を経て、当時の英国をしのぐ作品が日本で次々に生まれました。
その第一人者とも言える上橋菜穂子氏が、いかにして国際アンデル賞受賞作家になったのかがわかる1冊です。
本の虫で前述の作品に出会っていたのはもちろんのこと、文化人類学者であること、おばあちゃんに昔話を語ってもらったこと、すべてが、何か大きな力が働いたかのように氏の人生に訪れています。
けれども、「守り人」シリーズを誕生させた一番の要素は、公平な目線で世界を見つめる氏の真摯な生き方にあるように思います。
著者:上橋菜穂子
出版社:偕成社