かつては駅前に必ずあった街の書店。
次々と姿を消す中で、素人同然の男性が、福岡に売り場面積13坪の新刊書店を開きました。
本屋が大好きだった著者は、蔵書数は1万冊、新刊から定番まで一通りのジャンルは揃えるが、コミックは置かない、しかし決してマニアックではない「ブックスキューブリック」を始めます。
やがて2号店もでき、カフェやベーカリー、ギャラリーも併設、地域を巻き込むイベントも開催していきます。
ただ本が好きなだけでは書店は作れません。
本書では、開業に至る苦労や、出版業界のルールなども書かれています。
それでも読み進むうちに、まるで冒険物語を読むような高揚感に包まれました。
本好きにとって、書店や図書館はアラビアンナイトに登場する宝物の詰まった部屋と同じです。
宝の中に、さらに新しい世界へと導く魔法の絨毯やランプを見つかるかも知れない・・
著者が作ったのはそんな書店なのかも知れません。
著者:大井実
出版社:晶文社