前作に続き、駅中書店の店長である彩加と、ラノベ編集者の伸光を中心に描かれています。
駅中という特殊な環境で、彩加はフェアを開催しPOPで飾ります。
売上にならなくても、お客さまの滞在時間が増え、本への関心を深めたことに満足感を覚えます。
読みながら、当図書室を重ねてしまいました。
小さなスペースに限られた予算の中で、本好きのスタッフがアイデアを出しあって特集コーナーを作り、ホームページやツイッターも駆使して、知ってもらいたい本を紹介しています。
「書店ガール」シリーズも、成功とは言えなかったドラマ化のイメージを払拭しようと特集を開催したことがありました。
一歩足を踏み入れるとワクワクする、お気に入りの本と出逢う場でありたいと頭を悩ませる気持ちは、立場は違えど、全国の本を愛する書店員さんと同じです。
今回、作中には書物占い「ビブリオマンシー」が登場します。
本を手にし、開いたページの言葉が、その時、その人に必要な言葉であるというものです。
どんな言葉が出ても、それをどう生かすかは読み手次第です。
ページをめくるたび温かいものが心を満たしてくれる本書は、多くの働く人にとってのビブリオマンシーかもしれません。
著者:碧野圭
出版社:PHP研究所