ときどき、この人は何故こんな物語が書けるのだろうと思う本に出会います。
作者が創作したのではなく、どこかに物語の国があり、作家と呼ばれる人たちは
その国への通路を知っているのではないのか、と考えることがあります。
本書を読んで謎が解けました。
どうやら世界には、読書の秋になると本を実らせる「作家の木」があるらしいのです。
また読み終わった本はリサイクルセンターで「作家の気持ち」にまで分解され、
未来の作家に受け渡されることもわかりました。
ページをめくるたび、本を愛する人にはたまらないお話とイラストが満載です。
本を読むことは「偉い」ということとは無関係です。
けれども本を読む喜びを知っていると、人生は限りなく豊かになります。
瞬時にして過去にも未来にも、深海にも宇宙にも行ける、
こんな移動手段は他にありませんからね。
著者:ヨシタケシンスケ
出版社:ポプラ社