知人の話です。
友人たちと好きなパスタについて話していると、名古屋出身者が言いました。
『あんかけスパゲッティが一番だよね。』
首をかしげながらも、中華風を想像していた知人は、後日正体を知って更に驚きました。
ウインナと玉ねぎを具にした、胡椒の効いたケチャップ味のあんかけだったのです。
日本のほぼ中心にありながら、多くの点で他地域とは異なる名古屋を、名古屋出身の
清水義範が「異界」と呼び解説しています。
不人気が話題になることもある名古屋ですが、作者によると名古屋人はアピールが
下手であり、そもそもアピールする気がないというのです。
かくして閉鎖的で完結した大都市は独自の文化を確立していくのです。
本書はどの章も興味深いのですが、さすが清水義範氏、名古屋弁についての考察が
出色です。
全ての都市が東京を手本としていたら、あんかけスパゲッティや小倉トーストは
誕生しなかったかもしれませんね。
著者:清水義範
出版社:KKベストセラーズ