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教えて!モナ・リザ 名画たちのホンネ

 こんなにお腹を抱えて笑った美術解説書は初めてでした。

              

 失礼ながら、私は著者であるとに~さんの事を今まで存じ上げなかったの

 ですが、その脱力系のネーミングと、耳慣れない 「アートテラー」 という

 肩書きとが相まって、この謎の著者の美術書が一体どのようなものなのか、

 まるでアミューズメントパークにでも足を踏み入れるような期待値で、本

 をめくってみました。

       

 その期待値は、最初のボッティチュリの《ヴィーナスの誕生》で早くもマッ

 クスに振り切ってしまいました。

 なんと、絵の中のヴィーナス自らが自身の絵の紹介と解説までしてしまって

 いるのです。

 それも自分の事をのっけから、「私、控えめに言っても美しいので」 と、

 某医療ドラマの主役のような高慢キャラで語り出しています。

          

 「なにこれ? 斬新で面白い!」 と、気づけば抱腹絶倒の内に読み終わって

 いました。

         

 他の名画も同様、そこに描かれた登場人物たちがストーリーテラーとなり、

 自身の事は言うに及ばず、その時の画家たちの心情までをも言いたい放題に

 喋っています。

    

 その語り口も、サンドイッチマン(風)であったり、ヒロシ(風)であった

 り、はたまたローランド(風)のキャラも飛び出してくる始末です。

 ゴッホの 《ひまわり》 に至っては、AKB48(風)のアイドルに仕立て上げ

 られてしまっています!

          

 西洋絵画の他に、日本画や彫刻・工芸も網羅されていますが、この本の凄い

 ところは、時代を追ってアートが変遷していった様子や、その時代の画家が

 生み出したテクニックの解説を、美術史の流れに沿って、そのマスターピー

 スとなる作品を用いてきちんと書かれているところです。

           

 美術を知らない人でも、学ばずとも笑っている内に美術に明るくなれる本だ

 と思いました。

          

 各作品の後付けとして、コラムという名を借りた画家たちのゴッシプネタも

 満載です。

 バロック絵画の重鎮カラヴァッジョのジャイアンぶりには、開いた口が塞が

 りませんでした。

          

 芸術の秋、名画たちのホンネに耳を傾けて、その独白に大笑いして下さい。

    

 最後に、著者のとに~さんは元吉本興業のお笑い芸人さんらしいです。

 この本のダビデ像とコンビを組んでらっしゃったら、M-1優勝も夢ではなか

 ったかも…?

           

          

 著 書:とに~

 出版社:三笠書房

          

         

Special Voiceひとコトコメント

 2021年11月の新着図書です。

 

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