人は誰かに何かを伝えたいとき、瞬時に頭の中で知りうる単語を駆使し、
語順を組み立て言葉にしています。
ですが相手や状況によってその表現方法は変化し、それによって伝わり方
も大きく異なります。
思いの丈を的確に言葉にし、その真意をより伝えやすくするために肝要と
なるのが「言葉のちから」です。
本書は、言葉の歴史や成り立ちから始まり、単語の使い分けや理論構築の
仕方、自己探求から生まれる表現方法、話し方のコツなどがわかりやすく
記されています。
中には少しハードルが高く感じるものもありますが、ほとんどがすぐにで
も始められそうな手軽で簡単な手法で紹介されており、日常会話ではもち
ろん、プレゼンや企画、交渉といったビジネスシーンにおいても生かせる
場面が多くありそうです。
また本書は、読み進めるうち、ただ話すための技術を身につけるというこ
とだけではなく、「言葉に対して向き合うこと」は「自身と向き合うこと」
と同じであるということ、そして「選び話す言葉が自身を形成するものと
なる」ということに気づかせてくれます。
投げかける相手だけでなく、それを放つ自分自身のためにも、言葉の一つ
ひとつを大切にしたいと思わせてくれる1冊です。
著 者:ひきた よしあき
出版社:三笠書房