にんじんを手に屈託なく笑う、Tシャツ姿の表紙の女性。
それがこの本の著者、「食べチョク」代表の秋元里奈さんです。
実家が農家で、幼い頃から「農家は継がなくていい」と言われて育った秋元さん。
その言葉を素直に受け止め大手企業に就職しますが、実家に帰ったある時、荒れ
果てた農地を目の当たりにし、初めて実家が農家を廃業していた事実を知ります。
その変わり果てた姿に大変なショックを受け、自分と同じ思いをする農家をこれ
以上増やしたくない、農業を支える事業をしたい、との思いから一念発起します。
本書は2部構成になっていますが、第1部では起業までの過程と、その後の苦難や
逆境をいかにして乗り越えてきたかが綴られ、第2部では秋元さんへのQ&Aと、
彼女を取り巻く人々の声が記述されており、秋元さんのバイタリティ溢れる姿勢
と、実直な人柄を窺い知ることができます。
今や農家だけにはとどまらず、漁業や酪農業など、日本各地の生産者さんたちの
まっすぐな「こだわり」が詰まった「食べチョク」は、もはや地方産業を支える
新たな仕組みのひとつといえるかもしれません。
産業に携わる方はもちろん、こだわりの一品に出会いたい方や、これから何か
一歩踏み出したいという方も、ぜひ手に取ってみてください。
著 者:秋元 里奈
出版社:KADOKAWA