2019年に101歳でご逝去された吉沢久子さん。
本書は、その吉沢さんが99歳の時に書き著したエッセイです。
そこに並ぶのは、とてもシンプルな言葉たち。
一見すると、ありきたりな言葉のように感じられるかもしれません。
けれどそれゆえ、まっすぐ心に届きます。
吉沢さんの晩年のお姿しか知らなかったため、その穏やかな佇まいからは
思いもよりませんでしたが、幼少期には両親の離婚を経験され、15歳から
自立のために働き始め、結婚、そして戦争を経て生活評論家としてご活躍
されながら、後年にはお姑さんの介護も経験されたそうです。
その人生にはきっと、様々なご苦労があったことでしょう。
そんな吉沢さんだからこそ、自分が本当に必要とするものに気づき、毎日
を笑顔で過ごすための秘訣を知り得たのかもしれません。
医療の進歩とともに「人生100年時代」という言葉も現実味を帯びてき
ましたが、毎日を楽しく健康に暮らしてこその100年です。
年齢を重ねた自分を思い描くとき、「ありたい姿」に近づくためのヒント
となる言葉が詰まった1冊です。
著 者:吉沢 久子
出版社:中央公論新社