短編というにはあまりにも儚い ──
まるで夢の中のワンシーンのようなショートストーリー集です。
著者は美術小説を得意とするだけあり、本というパレットに20色の
物語を出し色鮮やかな世界を描いていきます。
ある色はコスモス畑の輝きであったり、ある色は胸を衝いて零れた涙で
あったり、ぎこちな気に指に結ばれた糸であったり、川面にたゆたう
ホタルの流れであったり・・・。
そしてこの彩られた物語たちの「ギフト」は、「形」あるものではなく
無償の「愛」のように感じました。
その「ギフト」を受け取った主人公たちは、明日に向かうステップを
力強く蹴り出す事で周りに「ギフト」を返していくのです。
読了後は、言葉の花束という「ギフト」が貴方の心の中に届けられて
いるでしょう。
著 者:原田マハ
出版社:ポプラ社