ゴッホとゴーギャンの人生と作品に終始した内容では…と想像して読み始めると、
いい意味で裏切られる一冊です。
前半では如何にして印象派が台頭し、どんな画家たちが美術史を大きく変えていったか
断片的な知識が流れとなって理解できるように語られます。
後半に入り、ゴッホとゴーギャンが登場します。
不器用な生き方しかできず、愛すべき存在でもない彼らの人生を知ったうえで
心の叫びが聞こえるような作品を見ると、現代もなお多くの人の心を捉えてやまない
理由がわかるような気がします。
兵庫県立美術館では、1月25日から3月29日まで 「ゴッホ展」が開催されます。
本書を読むと、また違った楽しみ方ができるかもしれません。
著 者:木村泰司
出版社:筑摩書房