尼崎の寺町を歩いた際、寺院の中の鳥居を見て驚いたことがあります。
かつては共存も珍しくなかった寺院と神社ですが、明治政府の神仏分離令をきっかけに寺院は破壊されていきました。
本書では、数多くの寺院や仏像が如何に消滅していったかを、僧侶でもある著者が明らかにします。
欲望と無縁ではなかった寺院も、祈りの場として人々を支えてきた寺院も、無差別な破壊行動により姿を消してしまったのです。
バーミヤンの磨崖仏が爆破される映像は、何度見ても胸が締め付けられますが、歴史を伝えてきた貴重な文化財が、ここ日本でも失われていたことが無念でなりません。
著 者:鵜飼秀徳
出版社:文藝春秋